漢詩「夏日即事」(七言律詩)

🔴️原文:

夏日卽事 玄齋 佐村 昌哉 大阪市

三伏炎威欲滅謀 斟杯澱水行江樓

同鳴大劍親鄕黨 獨克小心吟積憂

一句綴箋題目述 寸心披卷賦詩留

塡詞成後言吾意 雨霽遍吹風漸收


🔴️書き下し文:

題:「夏日(かじつ) 卽事(そくじ)」

三伏(さんぷく)の炎威(えんゐ) 滅(めつ)せんと欲(ほつ)するを謀(はか)り
杯(はい)を斟(く)みて澱水(でんすい)の江樓(かうろう)に行(い)く

同(とも)に大劍(たいけん)を鳴(な)らして鄕黨(きやうたう)に親(した)しみ
獨(ひと)り小心(せうしん)に克(か)ちて積憂(せきいう)を吟(ぎん)ず

一句(いつく) 箋(せん)を綴(つづ)りて題目(だいもく)述(の)べ
寸心(すんしん) 卷(くわん)を披(ひら)きて賦詩(ふし) 留(とど)む

塡詞(てんし) 成(な)りて後(のち) 吾(わ)が志(こころざし)を言(い)はば
雨(あめ) 霽(は)れて遍(あまね)く吹(ふ)く風(かぜ) 漸(やうや)く收(をさ)まる


🔴️現代語訳:

三伏(さんぷく:夏至の後の三番目の庚(かのえ)の日(初伏(しょふく))から、四番目の庚(かのえ)の時期(中伏(ちゅうふく))、立秋後の最初の庚(かのえ)の日(末伏(まっぷく))までの間の非常に暑い時期、陰の気が起ころうとしても陽の気に抑えられて出て来られない時期(伏日(ふくじつ))であることから来ています。)の激しい暑さを無くそうとすることを計画し、
酒杯を酌んで澱水(でんすい:淀川(よどがわ))の川べりの高い建物へ行きました。

共に大きな剣を鳴らして郷里の仲間達に親しみ、一人、小心に打ち勝って、積み重なった心配事を詠んだ漢詩を作りました。一句を紙片に綴って漢詩のお題を述べ、一寸四方の心のある辺り(心)は、書巻を開いているように、私の作った詩を留めていました。填詞(てんし:昔の宮廷歌謡の替え歌)が完成した後、私自身の志を言うと、雨が晴れて遍く吹く風が、次第に収まってきました。


先程の七言律詩の中で述べていた填詞(てんし)を以下に示します。


🔴️原文:

十六字令「風」 玄齋 佐村 昌哉 大阪市

風。共上壇場已有忡。君心下、誰識大成功。


🔴️書き下し文:

題:「十六字令(じふろくじれい)『風(かぜ)』」

風。共上壇場已有忡。君心下、誰知大成功。

風(かぜ)。共(とも)に壇場(だんぢやう)に上(のぼ)りて已(すで)に忡(うれ)ひ有(あ)り。君心(くんしん)の下(もと)、誰(たれ)か知(し)らん大(おほ)いに功(こう)を成(な)すを。


🔴️現代語訳:

題:「填詞(てんし)の十六字令(じゅうろくじれい)を『風(かぜ)』というお題で作りました」

風。韓信(かんしん)は劉邦(りゅうほう)と二人で共に壇場(だんじょう:将軍を任命する時などの式場のことで、ここでは韓信(かんしん)が劉邦(りゅうほう)に大将軍に任命された時の式場です。)に登る頃には、既に心配事がありました。君主(くんしゅ:劉邦(りゅうほう))の心の元で、誰が大きな功績を上げると知っていたでしょうか。

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