填詞「想佳人(倣浣渓沙)」

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●原文:

 想佳人(倣浣溪沙)  玄齋 佐村 昌哉  大阪市

百日紅中長壽身,醉芙蓉上若花人,難求永遠是芳辰。

 ●

重歳隙駒憂短慮,懷詩相思識前因,案君深切在風塵。


●書き下し文:

 題:「佳人(かじん)を想(おも)ふ(浣溪沙(くわんけいさ)に倣(なら)ふ)」

百日紅中(ひやくじつこうちゆう) 長壽(ちやうじゆ)の身(み),
醉芙蓉上(すいふようじやう) 花(はな)の若(ごと)き人(ひと),
永遠(えいゑん)を求(もと)むること難(かた)きは是(これ) 芳辰(はうしん)。

 ●

歳(とし)を重(かさ)ぬる隙駒(げきく) 短慮(たんりよ)を憂(うれ)ひ,
詩(し)を懷(おも)ふて相思(さうし) 前因(ぜんいん)を識(し)り,
君(きみ)を案(あん)じて深切(しんせつ) 風塵(ふうぢん)に在(あ)り。

「溪」の新字体は「渓」、「壽」の新字体は「寿」、「醉」の新字体は「酔」、「懷」の新字体は「懐」
「想(おも)ふ」の新仮名遣いは「想(おも)う」
「浣(くわん)」の新仮名遣いは「浣(かん)」
「長(ちやう)」の新仮名遣いは「長(ちよう)」
「上(じやう)」の新仮名遣いは「上(じよう)」
「遠(ゑん)」の新仮名遣いは「遠(えん)」
「芳(はう)」の新仮名遣いは「芳(ほう)」
「憂(うれ)ひ」の新仮名遣いは「憂(うれ)い」
「懷(おも)ふて」の新仮名遣いは「懷(おも)うて」
「相(さう)」の新仮名遣いは「相(そう)」
「塵(ぢん)」の新仮名遣いは「塵(じん)」


●現代語訳:

 題:「美しい人を思うという題で、宮廷歌謡の替え歌である填詞(てんし)を浣渓沙(かんけいさ)の詞譜(しふ:又は詞牌(しはい)、填詞(てんし)の譜面のことです。)に基づいて詠みました。」

 百日紅(サルスベリ)の花の中のような、長寿の身の上で、
(百日紅(サルスベリ)は百日もの長い間、花を咲かせるとされています。)
 酔芙蓉(すいふよう)の上にいるような、花のような人がいます。
 永遠を求めることが難しいのは、花の盛りの時期なのです。

 ●

年齢を戸の隙間を走り去る馬のように早い時間の流れの中に重ねて、浅はかに物事を考えてしまうのを心配し、
 詩を考えて相手のことを思うと、その由来を知るようになり、
 君のことを考えることが丁寧になり、そうして浮世の中にいるのです。


●語注:

※隙駒(げきく):「月日の過ぎ去ることの早いたとえ。戸の隙間をちらりと走り過ぎる馬のように早いとの意。」(『新字源』P1073)

※前因(ぜんいん):「由来;原因」(『漢語大詞典(かんごだいしてん)』(『搜韵(そういん)』の Web サイト< http:// sou-yun.com/ >)の「典故(てんこ)、詞彙(しい)」の Web ページ(< http://sou-yun.com/QueryAllusion.aspx/?lang=t >)(アクセス日:平成二十八年七月三十日))とあります。(URLの中の「:(コロン)」は、リンクを避けるために全角にしています。)

※深切(しんせつ):「非常にていねいである。懇切。」(『新字源』P588)


●解説:

今回は、宮廷歌謡の替え歌である填詞(てんし)の一つ、浣渓沙(かんけいさ)を、「美しい人を想う」という題で詠みました。

填詞(てんし)は本来、男女の間のことを詠むものですので、きちんとそういう意味での填詞(てんし)を作ることも大切だと思い、こうして作ってみました。

日々の反省、そして漢詩や填詞(てんし)を考える中で、人への心遣いが細やかになる、そんな風に私自身の心も養っていけると良いなという思いを読みました。

そして百日もの長い間咲くという百日紅(サルスベリ)のように、出来る限り長生きをして過ごせれば良いなと思います。そうして体調が少しでも良い時には、こうして漢詩や填詞(てんし)に私自身の気持ちを述べることが出来れば良いなと思います。

これからも自宅で治療を続けながら、しっかりと頑張っていきます。


佐村 昌哉(筆名:白川 玄齋)

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