漢詩「聖夜即事」(五言排律)

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タイトル:漢詩「聖夜即事」(五言排律)


●原文:

 聖夜卽事  玄齋 佐村 昌哉  大阪市

耶 蘇 生 誕 夜  家 族 樣 何 如

深 雪 孤 村 路  嚴 寒 陋 巷 廬

離 街 持 荷 物  歸 宅 覘 門 閭

慈 父 方 箱 渡  垂 髫 快 意 攄

團 欒 忘 拙 計  圓 滿 處 安 居

聖 者 將 知 否  通 宵 歡 喜 初


●書き下し文:

 題:「聖夜(せいや) 偶成(ぐうせい)」

耶蘇(やそ) 生誕(せいたん)の夜(よる)
家族(かぞく)の樣(さま) 何如(いかん)

深雪(しんせつ) 孤村(こそん)の路(みち)
嚴寒(げんかん) 陋巷(ろうこう)の廬(いほり)

街(まち)を離(はな)れて荷物(にもつ)を持(も)ち
宅(たく)に歸(かへ)りて門閭(もんりよ)を覘(うかが)ふ

慈父(じふ) 方箱(はうさう) 渡(わた)し
垂髫(すいてう) 快意(くわいい) 攄(の)ぶ

團欒(だんらん) 拙計(せつけい)を忘(わす)れ
圓滿(ゑんまん) 安居(あんきよ)に處(を)る

聖者(せいじや) 將(はた) 知(し)るや否(いな)や
通宵(つうせう) 歡喜(くわんき)の初(はじ)め


●現代語訳:

 題:「聖夜(クリスマス・イヴ)のその場のことを漢詩に詠みました」

キリストが生まれた日の夜であるクリスマス・イヴにおける、
 家族の様子は、どのようなものでしょうか。

 遠く離れてぽつんと存在する村の道では深く雪が積もっていて、
 狭い街路の粗末な家では、厳しい寒さがありました。

 街を離れて荷物を持って、
 家に帰って村里の入り口の門を窺い見ていました。

 情け深い父が四角い箱を渡して、
 垂れ髪の幼児は、楽しい気持ちが広がっていました。

 家族で楽しく時を過ごして、自分の拙い(家計の)計画のことを忘れ、
 満足して欠ける所が無く、安んじた暮らしをしていました。

 聖者(せいじゃ:キリスト)は一体、このことを知っているのでしょうか。
 夜通し、大いに喜ぶことの初めなのです。

●語注:

(以下、『新字源』は、1994年(平成六年)の改訂版を利用しています。)

※即事(卽事)(そくじ):「その場のことを詠じた詩。」(『新字源』P147)

※耶蘇(やそ):キリストのことです。

(※耶蘇教(耶蘇敎)(やそきよう(やそけう)):「本来は、ヤソ会派のキリスト教。転じてキリスト教。」(『新字源』P1014))

※何如(いかん):「いかん。どのようか。どう思うか。状態・程度・是非などを問う。」(『新字源』P1241「何(か)」の助字解説)

※深雪(しんせつ):深く積もった雪。みゆき。」(『goo国語辞書』の「深雪」の検索結果< http://dictionary.goo.ne.jp/jn/14796/meaning/m0u/ >(アクセス日:平成二十八年十二月十七日(土)))

※孤村(こそん):「遠くはなれてぽっつり存在する村。」(『新字源』P269)

※陋巷(ろうこう):「せまい街路。貧民街。路地裏。」(『新字源』P1066)

※門閭(もんりよ)(小書き文字を使うと「もんりょ」):「村里の入り口の門。里門〔りもん〕。」(『新字源』P1056)

※慈父(じふ):「情け深い父。父親の美称。」(『新字源』P380)

※垂髫(すいちよう(すいてう))(小書き文字を使うと「すいちょう」)(= 垂髪(垂髮)(すいはつ)):「たれ髪。転じて、童児。幼児。」(『新字源』P214)

※快意(かいい(くわいい))(= 快心(かいしん(くわいしん))):「心を楽しませる。ここちよい。」(『新字源』P360)

※団欒(團欒)(だんらん):「輪のように集まる。親しいものの楽しい会合。」(『新字源』P
P204)また、「親しい者たちが集まって楽しく時を過ごすこと。」(『goo国語辞書』の「団欒」の検索結果< http://dictionary.goo.ne.jp/jn/140733/meaning/m0u/ >(アクセス日:平成二十八年十二月十七日(土)))

※拙計(せつけい):「自分の計画をけんそんしていうことば。」(『新字源』P408)

※円満(圓滿)(えんまん(ゑんまん)):「満ち足りて欠けたところがない。」(『新字源』P208)

※安居(あんきよ)(小書き文字を使うと「あんきょ」):ここでは「安んじて生活する。現在の生活に安んじる。」(『新字源』P270)の意味で用いています。

※通宵(つうしよう(つうせう))(小書き文字を使うと「つうしょう」):「夜通し。よもすがら。」(『新字源』P1001)

※歓喜(歡喜)(かんき(くわんき)):「おおいに喜ぶ。大喜び。」(『新字源』P535)


●解説:

 今回は、クリスマス・イヴのその場のことを、五言排律の漢詩にしました。

 クリスマス・イヴは、私にとっては家族で揃って過ごす日ですので、今回は家族が集まるクリスマス・イヴを描いてみました。寒い中、クリスマスのプレゼントを抱えて帰宅の途に就く父親、そしてそれを見て喜ぶ幼子、そんなささやかな様子を詠んでみました(私自身は独身で、配偶者も子供もいませんが)。

 どんな方にも楽しいクリスマス・イヴでありますように。良い年をお迎え下さい。


追伸:

 私自身は病気の中でもきちんと働けるように、地道な努力をしていきます。そのために、この漢詩の英訳の記事をアップした後に長期間休みます。私自身も生きていくということと改めてしっかりと向き合っていこうと思います。


佐村 昌哉(筆名:白川 玄齋)

この記事へのコメント

  • 美舟

    こんにちは!
    ご無沙汰しております。
    いつも当方のブログに温かいお言葉感謝致します。
    さて、こちらのお作品。
    いつもながら素晴らしいお作品でございますね。
    現在、私は今月と来月の課題に追われてます〜
    毎日漢詩とにらめっこしてますが、なかなか進まず・・・
    玄齋様のお作品を拝見させて頂き、とても勉強になりました。
    年内までに全てを提出と思っていますので、頑張りたいなと思います。
    あと・・・
    ブログを長期お休みされるとのこと。
    びっくりしました。
    大変なご病気の中できちんと働けるよう・・・
    なんと素晴らしいことなのでしょう。
    凄いですね。
    私はご事情など勿論何も知らないのですが、ご病気だと色々と大変だと思われます。
    そんな中での玄齋様の前向きな姿勢や努力は非常に感動です。
    私にも力を頂けているような気がしてなりません。
    陰ながらではございますが、応援しております。
    そして、またお時間等できましたら、ブログ復活して下さいませね。
    素晴らしいお作品を拝見できること、いつまでもお待ちしております。
    2016年12月18日 13:57
  • 佐村 昌哉(筆名:白川 玄齋)

    > 美舟さん

    こんばんは。温かいコメントをありがとうございます。

    クリスマス・イヴの漢詩、
    昨年と同様、独自にクリスマスについて調べて、
    それを元に作るようにしています。
    甥姪に見せることを目指して作りましたので、
    特に分かりやすく作ることにしました。
    少しでも多くの方にも見て頂けると良いなと思います。

    この時代、漢詩で働くことはさすがに出来ませんので、
    しっかりと就職に向けて勉強や諸々の努力をして、
    その後にまた漢詩とブログに復帰しようと思います。
    ブログにはアップしませんが、家族の誕生日の漢詩等を、
    その間も続けていこうと思います。

    必ず復帰できるように頑張ります。

    美舟さんも良い日曜日の夜をお過ごし下さい。
    良いお年をお迎え下さい。
    2016年12月18日 20:01