漢詩「中秋賞月」七言律詩

●原文:
中秋賞月 玄齋 佐村 昌哉 大阪市

夜宜間坐正中秋 月影晶晶星影流

脇抱羽觴揮醉筆 天望玉鏡共清遊

寒光閣上金風颯 遠路吟邊白露幽

茲聽蟲聲一詩就 欲忘蕭寂酒將酬


●書き下し文

題:「中秋(ちゆうしう) 賞月(しやうげつ)」

夜(よる)は間坐(かんざ)に宜(よろ)し正(まさ)に中秋(ちゆうしう)
月影(げつえい) 晶晶(しやうしやう) 星影(せいえい) 流(なが)

脇(わき) 羽觴(うしやう)を抱(かか)へて醉筆(すいひつ)を揮(ふる)ひ
天(てん) 玉鏡(ぎよくきやう)を望(のぞ)みて清遊(せいいう)を共(とも)にす

寒光(かんくわう)の閣上(かくじやう) 金風(きんぷう) 颯(さつ)たり
遠路(ゑんろ)の吟邊(ぎんぺん) 白露(はくろ) 幽(いう)なり

茲(ここ)に蟲聲(ちゆうせい)を聽(き)きて一詩(いつし) 就(な)る
蕭寂(せうせき)を忘(わす)れんと欲(ほつ)して酒(さけ) 將(まさ)に酬(むく)いんとす

「醉」の新字体は「酔」、「邊」の新字体は「辺」、「蟲」の新字体は「虫」、「聲」の新字体は「声」、「聽」の新字体は「聴」、「將」の新字体は「将」
「秋(しう)」の新仮名遣いは「しゆう(小書き文字を使うと『しゅう』)」
「賞(しやう)」の新仮名遣いは「しよう(小書き文字を使うと『しょう』)」
「晶(しやう)」の新仮名遣いは「しよう(小書き文字を使うと『しょう』)」
「觴(しやう)」の新仮名遣いは「しよう(小書き文字を使うと『しょう』)」
「揮(ふる)ひ」の新仮名遣いは「揮(ふる)い」
「鏡(きやう)」の新仮名遣いは「きよう(小書き文字を使うと『きょう』)」
「遊(いう)」の新仮名遣いは「ゆう」
「光(くわう)」の新仮名遣いは「こう」
「上(じやう)」の新仮名遣いは「じよう(小書き文字を使うと『じょう』)」
「遠(ゑんろ)」の新仮名遣いは「えん」
「幽(いう)」の新仮名遣いは「ゆう」
「蕭(せう)」の新仮名遣いは「しよう(小書き文字を使うと『しょう』)」



●現代語訳:

 題:「陰暦八月十五日の中秋の日に月を眺めて楽しむ様子を漢詩に詠みました」

 夜はのんびりと坐るのに良く、その時は正に陰暦八月十五日の中秋の日でした。
 月の光はきらきらと輝いていて、星の光は流れて行きました。

 脇に羽觴(うしょう:燕が羽を広げた形の杯)を抱えて酒の酔いに任せて筆を揮(ふる)い、
  空には鏡のような月を見上げて風流な遊びをしていました。

 月の寒々とした光が高い建物の上にあって、秋風がさっと吹いて、
 遠くの道のりの、詩を作っている辺りには、白い露が微かに付いていました。

 ここで虫の鳴く声を聴いて、一つの詩が出来上がりました。
 物寂しさを忘れようと思って、酒は今まさにそれを償おうとしていました。


佐村 昌哉(筆名:白川 玄齋)

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